この記事はアフィリエイト広告を含みます。制度と金額は2026年11月4日に公式ページで確認した内容です。
結論
- 実家じまいは「親が元気なうち」「亡くなったあと」「家をどうするか」の3つの時期に分けて考えると、次にやることが決まります。
- 亡くなったあとは、片付けより先に期限のある手続きを確かめます。相続放棄は3か月、相続税の申告は10か月、相続登記は3年が期限です。
- 家の出口は「住む・貸す」「そのまま売る」「解体して売る」「手放す」の4つ。どれを選ぶかで、片付けの範囲と費用が変わります。
この記事が向いている人
- 実家のことを何から始めればいいか分からない
- 親が亡くなった、施設に入った、または「そろそろ」と感じている
- きょうだいと話す前に、全体の流れを押さえておきたい
向いていない人
- 相続放棄をするか今すぐ決めたい → 弁護士・司法書士へ
- 相続税の額を知りたい → 税理士へ
- 家の値段を知りたい → 不動産会社の査定へ
配偶者・きょうだい・友人の家の場合は「親以外の家の場合」へ。
実家じまいとは?
実家じまいは、親の家の荷物を片付け、家そのものを住む・貸す・売る・手放すのどれかに決めて、管理の負担を終わらせるまでの一連の作業です。片付けだけでなく、相続の手続きと家の処分が含まれるので、順番を間違えると手戻りが出ます。
いま、どの時期にいる?
最初に決めるのは「いまどの時期か」です。時期によって、やることと相談先がまったく違います。
| 時期 | よくあるきっかけ | 最初にやること | 主な相談先 |
|---|---|---|---|
| 元気なうち | 帰省のたびに荷物が気になる、親が高齢になった、親が施設に入った | 家をどうしたいか親の考えを聞く。権利証や通帳の場所を一緒に確かめる | 家族、地域包括支援センター、家族信託に詳しい専門家 |
| 亡くなったあと | 親が亡くなった | 期限のある手続きを確認し、片付けの前に書類と貴重品を探す | 司法書士、税理士、弁護士、遺品整理業者 |
| 家をどうするか | 空き家になった、税金や管理が負担 | 4つの出口のどれにするかを、きょうだいで決める | 不動産会社、市区町村の空き家相談窓口、解体業者 |
親が施設に入った場合は、家も荷物も親のものです。片付けや売却には親本人の判断が必要で、判断が難しくなっていれば成年後見の手続きが必要になります。施設入居は「元気なうち」の側として考えてください。
亡くなったあと、期限があるのはどれ?
親が亡くなったあとは、片付けより先に次の4つの期限を確かめます。数え始める日は手続きごとに少しずつ違うので、表の書き方で確かめてください。
| 手続き | 期限 | 関係する人 | 確認先 |
|---|---|---|---|
| 相続放棄(または限定承認) | 相続の開始を知った時から3か月以内。家庭裁判所に申し立てれば延長できる場合あり | 借金がありそうな場合、相続したくない場合 | 裁判所 |
| 準確定申告(亡くなった人の所得税) | 相続の開始を知った日の翌日から4か月以内 | 親に年金以外の収入があった、確定申告をしていた場合 | 国税庁 |
| 相続税の申告 | 相続の開始を知った日の翌日から10か月以内 | 遺産の合計が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合 | 国税庁(基礎控除) |
| 相続登記(家と土地の名義変更) | 不動産を相続したと知った日から3年以内。2024年4月1日より前の相続は、原則2027年3月31日まで | 実家(土地・建物)を相続した人全員 | 法務局 |
相続登記は2024年4月1日から義務になり、正当な理由なく申請しないと10万円以下の過料の対象になります。遺産の分け方がまとまらないうちは、「相続人申告登記」で義務を果たす方法もあります。
片付けを始める前に、確かめる3つのこと
荷物に手をつける前に、次の3つだけは先に確かめてください。順番を逆にすると取り返しがつかないものがあります。
- 相続放棄を考えているか
親に借金がありそうなときは、片付けを止めます。遺品を売ったり処分したりすると、相続を認めた(単純承認)とみなされて放棄できなくなるおそれがあります(民法921条)。どこまでなら手をつけてよいかは、弁護士か司法書士に確認してからにします。 - 遺言書、権利証、通帳、保険証券を探したか
仏壇の引き出し、たんす、金庫、本棚の封筒など、しまってありそうな場所を順に見ます。業者が入る前に家族で探しておくと、「捨てたかもしれない」というもめごとを防げます。 - きょうだいで、担当と上限金額を決めたか
「だれが窓口になるか」「片付けにいくらまで出すか」「残したい物はいつまでに言うか」の3つを先に決めます。費用の分け方は、家を売ったお金から精算するのか、先に立て替えるのかも決めておきます。
片付けには、いくらかかる?
業者に頼む場合、費用は間取りと荷物の量でほぼ決まります。下の表は、遺品整理業者(キーパーズ有限会社)が日本郵便のサイトで示している目安です。
| 間取り | 費用の目安 | 作業時間 | 作業人数 |
|---|---|---|---|
| 1R・1K | 10万〜15万円程度 | 数時間〜半日 | 1〜2名 |
| 1DK・2K | 15万〜30万円程度 | 半日〜1日 | 2〜4名 |
| 1LDK・2DK・3K | 30万〜50万円程度 | 基本1日 | 3〜5名 |
| 2LDK・3DK・3LDK以上 | 50万〜100万円以上 | 基本1日(2日以上の場合あり) | 5名以上 |
| 一軒家(3LDK以上) | 50万〜100万円以上 | 基本1日(5日以上の場合あり) | 5〜10名以上 |
出典:日本郵便「遺品整理の費用相場はいくら?」(2026年11月4日確認)。テレビ・冷蔵庫・洗濯機などの家電リサイクル料金を含む前提の目安で、立地、荷物の量、作業環境、業者によって大きく変わります。
同じ間取りでも、荷物の量、2階からの運び出し、家電リサイクル品の数、供養やハウスクリーニングの有無で金額が上下します。見積もりは2〜3社から取り、「作業一式」ではなく人数・車両・処分費の内訳が書かれているかで比べるのが基本です。
家をどうするか、4つの出口
片付けの範囲は、家の出口で決まります。売るなら家具を全部出す必要がありますが、買取業者に頼むなら荷物ごと引き取ってもらえる場合もあります。先に出口を決めてから片付けると、二度手間を防げます。
| 出口 | 向いている家 | 片付けの範囲 | 先に確かめること |
|---|---|---|---|
| 住む・貸す | 家族が住む予定がある、駅や生活圏が便利 | 使う物を残して整理 | 修繕にいくらかかるか、借り手がいる地域か |
| そのまま売る | 建物がまだ使える、需要のある地域 | 原則すべて搬出(買取なら残置物ごとの場合あり) | 仲介と買取のどちらにするか、相続登記が済んでいるか |
| 解体して土地で売る | 建物が古く傷んでいる、土地に需要がある | すべて搬出してから解体 | 解体費、市区町村の解体補助、解体後に固定資産税の住宅用地特例が外れること |
| 手放す | 売れない、管理できない | 建物を解体して更地にするのが前提 | 相続土地国庫帰属制度の要件と負担金 |
「手放す」の選択肢として、2023年4月27日から相続土地国庫帰属制度が始まっています。ただし建物がある土地は申請できず、審査手数料が1筆14,000円、承認されると10年分の管理費相当額の負担金がかかります(法務省の案内)。
売る場合は、条件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける空き家の特例があります。1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家で、2027年12月31日までの売却、かつ相続開始から3年目の年末までに売ることなどが条件です。2024年以降の売却で相続人が3人以上なら、上限は2,000万円になります。使えるかどうかは、売る前に税務署か税理士に確認してください。
空き家のまま置いておくと、どうなる?
すぐに困ることは少ないものの、置いておく間も固定資産税と管理の手間はかかり続けます。2023年12月13日に施行された改正空家特措法では、放置すると危険な空き家になるおそれがある家を市区町村が「管理不全空家」として指導・勧告でき、勧告を受けるとその敷地は固定資産税の住宅用地特例から外れます(全日本不動産協会による国土交通省資料の紹介)。
決めきれないうちは、月に1回の換気・通水・郵便物の回収と、庭木の手入れだけでも続けておくと、建物の傷みと近所からの苦情を減らせます。遠方なら、空き家管理サービスや、地元の不動産会社に見回りを頼む方法もあります。
自分でやる、業者に頼む、専門家に聞く
全部を業者に任せる必要も、全部を自分でやる必要もありません。境目の目安はこうです。
| 作業 | 自分たちで | 業者に頼む | 専門家に聞く |
|---|---|---|---|
| 書類・貴重品・思い出の品を探す | ○ 家族でやる | ― | ― |
| 衣類・日用品の仕分け | ○ 量が少なければ | 遠方で通えない、量が多い | ― |
| 家具・家電・大量の不用品の搬出 | △ 自治体の粗大ごみで出せる範囲 | ○ 一軒家まるごと | ― |
| 着物・骨董・貴金属 | ― | ○ 買取業者に査定 | ― |
| 相続放棄・遺産の分け方 | ― | ― | ○ 弁護士・司法書士 |
| 相続登記 | △ 自分で申請もできる | ― | ○ 司法書士 |
| 相続税・空き家の特例 | ― | ― | ○ 税理士・税務署 |
| 家の値段・売り方 | ― | ○ 不動産会社の査定 | ― |
元気なうちに、できること
実家じまいがいちばん楽に進むのは、親が元気なうちに話ができた場合です。全部を決める必要はありません。帰省のときに、次の3つだけ聞けると、あとの判断がかなり楽になります。
- この家を、将来どうしたいと思っているか(だれかに住んでほしいか、売ってよいか)
- 権利証、通帳、保険、年金の書類がどこにあるか
- 残してほしい物、だれかに渡したい物はあるか
親が認知症になって判断ができなくなると、家を売るには成年後見の手続きが必要になり、時間がかかります。元気なうちに備える方法として、家族信託という仕組みもあります。どれが合うかは家庭ごとに違うので、話が出た段階で専門家に相談してください。
親以外の家の場合
家の持ち主との関係によって、相続人になるかどうかと、最初にやることが変わります。相続人の範囲と順番は法律で決まっています(国税庁 No.4132)。
| 亡くなった人との関係 | 相続人になるか | 最初にやること |
|---|---|---|
| 配偶者 | 常に相続人 | その家に住み続けるかを決める |
| 子 | 第1順位の相続人 | 期限のある手続きを確かめる |
| 親・祖父母 | 子や孫がいない場合に、第2順位の相続人 | 自分が相続人になるかを確かめる |
| きょうだい(亡くなっていれば甥・姪) | 子も親もいない場合に、第3順位の相続人 | 知らせを受けたら、借金と家の状態を確かめる |
| 内縁のパートナー・友人・知人 | 相続人ではない(遺言で遺贈を受けた場合を除く) | 家族・相続人や、大家・管理会社に連絡する |
配偶者を亡くした場合
配偶者は常に相続人です。亡くなった配偶者の持ち家に住んでいたなら、亡くなってから少なくとも6か月間は無償で住み続けられる「配偶者短期居住権」があります。ずっと住み続けたい場合は、遺産分割の話し合いや遺言で「配偶者居住権」を得る方法もあり、取得したら登記が必要です。配偶者居住権は2020年4月1日に始まった制度です(法務省)。
片付けは急がず、住み続けるか、住み替えるかを先に決めてから範囲を決めます。期限のある手続き(相続放棄・相続税・相続登記)は、親が亡くなった場合と同じです。
きょうだい・おじ・おばの家の場合
亡くなった人に子も親もいなければ、きょうだいが相続人になり、きょうだいがすでに亡くなっていれば、その子(甥・姪)が相続人になります。疎遠だった親族の家を、ある日突然引き継ぐこともあります。
相続放棄の3か月は「自分のために相続が始まったことを知った時」から数えます。知らせを受けたら、借金がないか、家がどんな状態かを確かめてから、相続するか放棄するかを決めます。判断に時間がかかりそうなら、家庭裁判所に期間の延長を申し立てられる場合があります。
友人・知人の部屋の場合
友人や内縁のパートナーは、遺言で遺贈を受けていない限り相続人ではありません。部屋の物は相続人のものなので、善意からでも、勝手に片付けたり持ち帰ったりはしないでください。
まず家族や相続人に連絡し、賃貸の部屋なら大家・管理会社にも知らせます。片付けを手伝う場合や形見を受け取りたい場合は、相続人の了承を得てからにします。
よくある質問
Q. 実家じまいは、親が亡くなってからどのくらいで始めればいい?
決まりはありませんが、相続放棄を考えるなら3か月以内に判断が必要なので、それまでは片付けより書類探しと財産の確認を優先します。片付けそのものは、家族の予定と気持ちが落ち着いてからで構いません。
Q. 片付けの前に、相続放棄をするか決めないといけない?
借金がありそうな場合は、先に決めてください。遺品を処分すると放棄できなくなるおそれがあります。相続する前提でも、遺産を分ける前の遺品は相続人みんなのものです。ほかの相続人と合意し、書類と貴重品を確保してから進めてください。
Q. 遠方に住んでいて通えない。どうすればいい?
書類と思い出の品だけ家族で探し、残りは立ち会い不要の業者に頼む方法があります。見積もりの段階で、鍵の受け渡し方法と作業後の写真報告があるかを確認しておくと安心です。
Q. 相続登記をしないと、どうなる?
2024年4月1日から義務になり、正当な理由なく3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になります。名義が親のままだと家を売ることもできないので、売るつもりなら早めに済ませます。
Q. 古くて売れないと言われた家は、どうする?
仲介で断られても、古い家や荷物が残った家を扱う買取業者に相談できる場合があります。それでも難しいときは、解体して土地として売るか、条件を満たせば相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらう方法があります。
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この記事は一般的な説明です。個別の事情に対する法律・税金の判断ではありません。くわしくは免責事項をご覧ください。
出典
- 裁判所「相続の放棄の申述」
- 国税庁 No.2022「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」
- 国税庁 No.4205「相続税の申告と納税」
- 国税庁 No.4152「相続税の計算」
- 国税庁 No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
- 新潟地方法務局「相続登記の申請義務化について」
- 法務省「相続土地国庫帰属制度について」、同制度の案内(PDF)
- 全日本不動産協会「改正・空家特措法の施行について」
- 日本郵便「遺品整理の費用相場はいくら?」
- 国税庁 No.4132「相続人の範囲と法定相続分」
- 法務省「残された配偶者の居住権を保護するための方策」
いずれも2026年11月4日に確認。
